核燃料税は、原子力発電所を立地する自治体が、電気事業者に対して地方税として課税しているもの。総務省は新潟県から協議のあった「核燃料税」の更新について、10月25日付で同意した。更新による課税期間は2024年11月までの5年間で、平年度47億1300万円の税収を見込む。法定外普通税である核燃料税は、その適用期限が来た場合、各地方自治体の条例改正を経て、総務大臣の同意を得ることで、更新や制度の見直しが認められる。

一時期全ての原発が稼働停止となっていたが、原子力産業協会によると、2019年10月3日現在、日本には33基の運転可能な原発があり、うち9基が再稼働中または再稼働予定となっている。そして、原発を設置している北海道、青森、宮城、新潟、石川、福井、茨城、静岡、愛媛、島根、佐賀、鹿児島の12道県が電力会社に対して核燃料税を課税している。この核燃料税の課税方法が、東日本大震災に伴う原発事故以後、変化している。

従来からある課税方法は、発電用原子炉に挿入された核燃料の価額を課税標準とする「価額割」で、核燃料の挿入(=原子炉の稼働)がなければ課税できない。これに対して発電用原子炉の熱出力能力を課税標準とすることで稼働停止中でも課税できる「出力割」や、原発施設に貯蔵される使用済み燃料に課税する「核燃料物質重量割」を、条例改正時に新たに価額割に加えて採用する自治体が増えている。

新潟県の核燃料税の税率は、価額割が100分の4.5、出力割が4万8450円/千キロワット/課税期間(3ヵ月)となっている。現時点で、価額割と出力割の2種類を採用しているのが、新潟を始め、静岡、島根、石川、鹿児島、宮城、北海道の7道県。価額割と出力割に核燃料物質重量割(福井県では「搬出促進割」の名称)を加えた3種類を採用しているのが愛媛、青森、茨城、佐賀、福井の5県となっている。

ちなみに、ドイツでは、独連邦憲法裁判所が2017年6月に、原子力発電所の新燃料1グラムあたり145ユーロ(約1万7880円)を事業者から徴収するという核燃料税はドイツ連邦共和国基本法(憲法)に適合しておらず、無効との判決を下している。2011年1月から施行された同税制は、原子力発電所で平均12年間の運転期間延長を許すのと引き替えに、その運転収入の中から税金を国庫に払い込むとされていた。

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