確定申告も電子申告が行えるようになって、確定申告書の提出が楽になった。電子申告できる税目は、法人税、地方法人税、消費税、復興特別法人税、酒税、印紙税、所得税、復興特別所得税、贈与税だが、今月10月から相続税も電子申告が可能になった。相続税は、他の税目と違い、添付書類の多さや相続人が連名で申告書を提出することになるため、対応が難しかったようだ。2019年1月1日以降に発生した相続が対象となる。

相続税の申告には、法人税や所得税と異なり、遺産分割協議書や印鑑証明書など様々な添付書類の提出が必要になる。10月現在、基本的な22種類の帳票の提出が電子申告可能とされている。ただし、非上場株式及び農地の納税猶予制度については電子申告を行うことができない。添付書類に関しては、戸籍の謄本などの法定添付書類のほか、提出が必要な多くの書類をイメージデータにより提出することができる。

相続税の申告は、不動産の評価が複雑などといった理由から、申告件数の8割以上を税理士が代理しているとみられる。そこで、税理士等の代理送信が可能だが、その場合は、1回の送信につき最大9名分までの財産取得者の申告をまとめて行うことができる。また、税理士等が(1)税理士情報を入力し、(2)電子署名を付して代理送信することで納税者本人の電子署名を省略して申告書を提出(送信)することができる。

そのほか、相続税の申告をe-Taxにより行う場合、書面による申告の場合と同様に、マイナンバー(個人番号)の記載(入力)は必要だが、「税理士証票の写し」の添付や「関与先(納税者本人)の番号確認書類」の添付など、マイナンバー制度に係る添付書類を省略できる。税理士等が代理で申告する場合は、税務署において、(1)代理権の確認、(2)代理人の身元確認及び(3)本人の番号確認を行う。

相続税の申告は、相続人等が遠隔地にいて書類のやり取りが困難な場合にも電子申告が行えると楽になる。作成した電子申告のデータをメール等で共有し、確定申告書の提出と同様に相続人各々が送信する申告書に電子署名を行うが、その際、正確にデータが送信されたか各人で確認を行う必要がある。セキュリティ面での不安を感じることもあろうが、全ての添付書類が電子申告で送信可能になれば、利便性は非常に高くなるかと思われる。

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