2017年以降、利用者が急増している仮想通貨。利益は確定申告の必要があるが、利用者には十分に認知されていない面がある。国税庁では、申告が必要なケースを周知するとともに、手続きの簡素化に取り組んでいる。例えば、2018年分の所得税の確定申告からは、交換業者が「年間取引報告書」を納税者に交付することとなり、年間の取引内容を手軽に正確に把握できるようになっている。

仮想通貨の取引によって利益を得れば、当然、課税の対象になるが、仮想通貨自体が新しいものであることから、どのような課税になるのか、利用者の理解を深める必要があった。そこで国税庁は、2017年12月に税法の解釈について明らかにし、仮想通貨は雑所得に区分されるとした。雑所得とは「他のいずれにも該当しない所得」で、公的年金の収入や副業で得た原稿料や講演料なども雑所得に区分されている。

雑所得は、給与所得など他の所得と合算する総合課税が基本。仮に給与所得400万円の会社員が仮想通貨で50万円の利益を得れば、年間の所得は450万円として税金を計算する。一方で給与所得者は、給与所得以外の所得が年間20万円以下であれば申告不要なため、仮想通貨で得た雑所得の場合も年間20 万円を超えた場合に、申告が必要になる。1年間の利益を計算し、翌年の2月16 日から3月15 日までに申告をしなければならない。

国税庁では、申告手続きの簡素化に取り組んでおり、例えば、2017年分の確定申告では、納税者が自ら仮想通貨の取引情報を交換業者から収集する必要があったが、2018年分の申告からは、交換業者が「年間取引報告書」を納税者に交付、年間の取引内容を手軽に正確に把握できるようになった。また、納税者が同報告書の内容等を基に数値を入力すると、申告に必要な所得金額等が自動計算できる「仮想通貨の計算書」を国税庁のHPで公開した。

さらに、昨年12月21日に閣議決定された「2019年度税制改正の大綱」においては、納税者による自主的な適正申告を担保する観点から、国税当局が事業者等に対して高額・悪質な無申告者等を特定するための情報を照会する仕組みを整備することとされている。今後、国税当局が必要な情報を把握し、課税上問題があると認められる場合はその是正を促すなど、仮想通貨取引の適正な申告に向けて積極的に取り組んでいくことが期待されている。

この件については↓
https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/201901/201901c.pdf

提供:株式会社タックス・コム