虚偽の申告により不正に消費税の還付金を得るケースが見受けられる。国税庁は、こうした不正還付等を行っていると認められる法人については、的確に選定し、厳正な調査を実施している。今年6月までの1年間(2017事務年度)においては、消費税還付申告法人6721件(前年対比2.1%減)に対し実地調査を実施した結果、3880件(同1.9%減)に非違があり、消費税256億9300万円(同13.2%減)を追徴課税したことが明らかになった。

実地調査した6721件のうちの約12%に当たる787件(前年対比1.9%減)は不正に還付金額の水増しなどを行っていたとして、58億3400万円(同54.4%減)を追徴課税している。消費税還付申告法人に対する追徴課税の推移をみると、2015事務年度は約152億円(うち不正計算に係る追徴税額約30億円)、2016事務年度は約296億円(同約128億円)、2018事務年度は約257億円(同約58億円)と高額で推移している。

調査事例をみると、多額の還付申告に着目し、不正還付を解明したものがある。調査の結果、インターネットによる海外旅行客向けのツアー販売などを営むA社は、無申告法人を利用し、実体のないソフトウェアをあたかも取得していたかのように契約書を仮装していたことを、契約の相手方に対する反面調査などを通じて把握した。A社に対しては、1年分の消費税について追徴税額2200万円(加算税込み、重加算税有)が課されている。

なお、2017事務年度における法人消費税の調査は、法人税との同時調査で9万4千件(前年対比0.9%増)の実地調査を実施。うち、5万5千件(同0.6%増)に非違があり、追徴税額は748億円(同4.7%減)。1件当たり80万円(同5.6%減)。また、実地調査のうちの約17%に当たる1万6千件(同3.9%増)は不正計算があったことから、233億円(同20.0%減)を追徴。不正1件当たりの追徴税額は147万円(同23.0%減)となる。

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