国税庁がこのほど発表した相続税の調査事績によると、今年6月までの1年間(2017事務年度)において、2015年中に発生した相続を中心に、申告額が過少、申告義務がありながら無申告と思われるものなど1万2576件(前事務年度比3.8%増)を実地調査し、うち83.7%に当たる1万521件(同6.0%増)から3523億円(同6.9%増)の申告漏れ課税価格を把握し、加算税107億円を含む783億円(同9.3%増)を追徴課税した。

実地調査1件当たりでは、申告漏れ課税価格2801万円(前事務年度比3.0%増)、追徴税額623万円(同5.3%増)となる。また、申告漏れ額が多額だったことや、故意に相続財産を隠ぺいしたことなどにより重加算税を賦課した件数は1504件(同15.7%増)で、その重加算税賦課対象額は576億円(同6.7%増)。重加算税賦課割合(重加算税賦課件数1504件/申告漏れ等の非違件数1万521件)は14.3%(同1.2ポイント増)だった。

申告漏れ相続財産の内訳をみると、「現金・預貯金等」が1183億円(前事務年度1070億円)で全体の34.1%を占めて最も多く、続いて「有価証券」が527億円(同535億円、構成比15.2%)、「土地」が410億円(同383億円、同11.8%)、「家屋」が62億円(同56億円、同1.8%)のほか、「その他(不動産、有価証券、現金・預貯金等以外)」が1289億円(同1189億円、同37.1%)となっている。

一方、申告・納税義務があるのに申告しない者も後を絶たないが、無申告事案については、前事務年度より25.2%多い1216件の実地調査を行い、うち84.3%に当たる1025件(前事務年度比36.5%増)から987億円(同14.0%増)の申告漏れ課税価格を把握し、88億円(同27.7%増)を追徴課税した。1件当たりの申告漏れ課税価格は8117万円と、相続税調査全体の1件当たり申告漏れ2801万円の約2.9倍にのぼる。

また、海外資産関連事案についても、資料情報や相続人・被相続人の居住形態等から海外資産の相続が想定される事案などを積極的に調査している。2017事務年度は、1129件(前事務年度比23.1%増)の実地調査を行い、うち134件(同14.5%増)から海外資産に係る申告漏れ課税価格70億円(同32.5%増)を把握し、うち8億円が重加算税賦課対象となっている。非違1件当たりの申告漏れ課税価格は5188万円と高額だ。

同相続税の調査状況は↓
http://www.nta.go.jp/information/release/pdf/3012_02.pdf

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