国税庁は本年6月、会計検査院から所得税の「住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)」と贈与税の「住宅取得等資金の贈与の特例」のいずれも申告している場合等に関して、納税者の申告誤りが多く見受けられるとの指摘を受けた。同庁において、申告書の見直しを行ったところ、2013年~16年分までの所得税の申告書を提出した人のうち最大約1万4500人が住宅ローン控除で申告誤りがあり、税金を控除しすぎていることが判明した。

国税庁は11日、「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除等の適用誤りに関するお知らせ」と題して申告ミスが多い事例をホームページ上で紹介し、注意を喚起している。紹介されたのは、(1)住宅ローン控除と贈与税の住宅取得等資金の贈与の特例について、合わせて適用を受けた場合の住宅ローン控除の控除額の計算誤り、(2)住宅ローン控除と居住用財産を譲渡した場合などの譲渡所得の課税の特例との重複適用。

さらに、(3)贈与税の住宅取得等資金の贈与の特例のうち、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例の適用における所得要件の確認もれ、の3ケース。(1)は、住宅ローン控除の控除額の計算上、贈与の特例の適用を受けた受贈額を家屋の取得価額等から差し引く必要があるにもかかわらずその減算をしていなかったケースで、約1万2600人に申告誤りがあった。

(2)は、居住用財産を譲渡した場合などの譲渡所得の課税の特例の適用を受けた場合、一定期間はその家屋について住宅ローン控除の適用を受けられないのに適用を受けていたもので、約1800人が申告誤り。(3)は、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例は、適用を受ける年分の合計所得金額が2000万円超である者は適用できないのに適用を受けていたケースで、約100人に申告誤りがあった。

是正を要すると見込まれる納税者に対しては、所轄の税務署から文書を送り、申告誤りの是正と不足分の税額の納付を求める。自主的に修正申告すれば一部の年には延滞税はかかるが、加算税は免除か軽減されるもようだ。住宅ローン減税制度は、1972年度税制改正で導入された「住宅取得控除制度」がルーツとされ、景気対策などを理由に条件や控除額などの変更が繰り返されて複雑な制度となっていることも今回の誤りの要因とみられる。

この件については↓
http://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2018/oshirase/index.htm

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