オンラインショッピングやネット広告などインターネット取引はすっかり定着しており、なかには年間1億円を超す売上があるネット業者も珍しくない。しかし、多額の利益を上げながら、ネット上の売上は国税当局には把握されまいと考え、無申告・過少申告する業者が後を絶たない。ネット取引は、無店舗による事業形態となるため、その把握は困難だが、国税当局は、あらゆる有効な資料情報を収集・分析して適正な課税に努めている。

国税庁によると、今年6月までの1年間(2017事務年度)において、ネット取引を行っている個人事業者などを対象に2015件(前事務年度1956件)を実地調査した結果、1件当たり平均1087万円(同1197万円)の申告漏れ所得金額を把握した。この申告漏れ額は、同時期の実地調査における全体での1件平均808万円の約1.4倍となっている。申告漏れ所得金額の総額は、219億円(同234億円)にのぼる。

調査件数2015件を取引区分別にみると、ホームページを開設し、消費者から直接受注するオンラインショッピングを行っている「ネット通販」が616件(1件当たり申告漏れ776万円)、「ネットオークション」435件(同1135万円)、出会い系サイトなどの「その他のネット取引」354件(同1284万円)、「ネットトレード」336件(同1441万円)、「ネット広告」241件(同993万円)、「コンテンツ配信」33件(同1212万円)だった。

調査事例では、会社員が副業で行っていたアフィリエイトに係る所得を申告していなかったものがある。調査対象者Bは、アフィリエイトによる収入を得ていることが想定されたが、申告がないため、調査に着手した。その結果、Bは、会社員として勤務する傍ら、副業として自身のHPに企業広告などを掲載することでアフィリエイト収入を得ていたが、勤務先に副業が見つかると給与等が減額される恐れがあるため申告していなかった。

さらに、規約違反により自身のアカウントが停止になった以降は、妻名義のアカウントでアフィリエイトの業務を行うとともに、妻名義の銀行口座にアフィリエイト収入を振り込ませていたことが判明した。Bに対しては、所得税6年分の申告漏れ所得金額約5300万円について追徴税額(重加算税を含む)約800万円が課されている。

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