国税庁が公表した今年6月までの1年間(2017事務年度)における法人税等の調査事績によると、大口・悪質な不正計算が想定されるなど調査必要度の高い9万8千法人(前年度比0.8%増)を実地調査した結果、うち約75%に当たる7万3千件(同1.3%増)から総額9996億円(同20.9%増)の申告漏れを見つけた。追徴税額は1948億円(同12.4%増)。調査1件当たりの申告漏れ所得は1024万円(同19.9%増)となる。

調査した21.0%(不正発見割合)に当たる2万1千件(前年度比4.0%増)が故意に所得を仮装・隠ぺいするなどの不正を行っており、その不正脱漏所得は前年度比13.7%増の2891億円で2年連続の増加。1件当たりでは同9.3%増の1407万円となった。また、法人消費税については、法人税との同時調査で9万4千件(同0.9%増)の実地調査を実施。うち、5万5千件(同0.6%増)に非違があり、税額748億円(同4.7%減)を追徴した。

不正を業種別(調査件数350件以上)にみると、不正発見割合の高い10業種では、「バー・クラブ」が66.4%で16年連続のワースト1位。「バー・クラブ」は、近年25年間で24回1位(唯一2001年度がワースト2位)という不名誉な記録を持つワースト業種の常連。次いで、昨年と同様「外国料理」(48.1%)、「大衆酒場、小料理」(41.8%)と続き、以下、「その他の飲食」(36.2%)、「土木工事」(30.0%)となっている。

また、1件当たりの不正所得金額が大きい10業種では、「その他の飲食料品小売」(5562万円)が前年ランク外から1位に、次いで、前年4位の「パチンコ」(4929万円)が2位、前年1位の「水運」(3806万円)が3位、以下、「建売、土地売買」(3486万円)、「その他の繊維製品製造」(3042万円)と続く。不正発見割合でワースト1位の「バー・クラブ」は1312万円、2位の「外国料理」は448万円で、ともにランク外だった。

なお、源泉所得税については、2017事務年度は11万6千件(前年対比0.1%増)の源泉徴収義務者について実地調査を行い、このうち、非違があったのは3万6千件(同1.0%増)で、その追徴税額は重加算税適用税額56億円を含む304億円(同8.3%増)だった。追徴税額の本税額(274億円)では、「給与所得」が173億円と約63%を占めてダントツのトップ、「非居住者等所得」が78億円、「報酬料金等所得」が15億円で続いた。

この件については↓
http://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2018/hojin_chosa/pdf/hojin_chosa.pdf

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