2019年10月1日から消費税等の税率が10%へ引き上げられ、この税率引上げと同時に消費税の軽減税率制度が実施される。これに伴い、軽減税率対象の飲食料品を扱う事業者は「複数税率対応レジ」等のシステム改修が急がれる。例えば、軽減税率対象品目を扱うA社は、自社の固定資産であるPOSのレジシステムや商品の受発注システム、経理システムのプログラムの修正を行う必要があり、その修正を外部に委託することとしている。

この修正に要する費用については、消費税法改正による軽減税率制度の実施に伴い、事業遂行上、消費税の複数税率に対応した商品の管理や納税額の計算をしなければならなくなったために、必要な修正を行うものであり、軽減税率制度の実施に対してなされているものに限定されていることが、作業指図書等で明確にされている場合には、その修正に要する費用は修繕費(損金算入)として取り扱うこととされている。

プログラムの修正が、ソフトウエアの機能の追加、機能の向上等に該当する場合には、その修正に要する費用は資本的支出として取り扱われることになるが、各システムのプログラムの修正は、消費税法改正による軽減税率制度の実施に対して、現在使用しているソフトウエアの効用を維持するために行われるもので、新たな機能の追加、機能の向上等には該当しなければ、その修正に要する費用は、修繕費に該当する。

なお、「複数税率対応レジ」導入の支援には、「複数税率対応レジの導入等支援」(A型)と「受発注システムの改修等支援」(B-1型、B-2型)がある。A型のレジの導入の場合、基本的には補助率は3分の2だが、1台のみ導入かつ導入費用が3万円未満の機器については補助率が4分の3、タブレット等の汎用端末の補助率は2分の1と補助率が異なる。補助額は1台当たり20万円が上限、複数台のときは200万円を上限とする。

一方、受発注システムの場合、小売事業者等の発注システムの補助金上限額は1000万円、卸売事業者の受注システムの補助金上限額は150万円で、両方の改修・入替が必要なときの上限は1000万円となる。補助率は改修・入替費用の3分の2。電子的受発注データのフォーマットやコード等の複数税率対応に伴う改修、現在利用している電子的受発注システムから複数税率に対応したシステムへの入替を補助対象とする。

軽減税率対策補助金の申請受付期限は2019年12月16日となっている。ただし、複数税率対応レジおよび受発注システムの導入または改修を終え、支払いを完了する期限は2019年9月30日だ。また、B-1型(受発注システムの改修)については、2019年6月28日までに交付申請書を提出し、交付決定を受けた後、同年9月30日までに、受発注システムの改修・入替を完了(支払いの完了を含む)し、全ての支払いが完了した後、2019年12月16日までに事業完了報告書を提出する必要がある。

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