財務省が公表した「2017事務年度(2017年7月~2018年6月)において全国の税関が行った輸入品に対する関税及び内国消費税に係る犯則事件の調査」結果によると、同事務年度に犯則調査に着手した件数は1456件(前年度1052件、前年度比約1.4倍)となり、過去最高を記録したことが分かった。処分を行った件数も、通告808件、告発33件の計841件(同549件、同約1.5倍)と過去最高を記録している。

また、処分した事件に係る脱税額は、総額で約17億2450万円(前年度比約1.8倍)だった。内訳は、関税が1億1180万円(同約1.9倍)、内国消費税が16億1270万円(同約1.8倍)となっている。告発件数は33件(同約2.8倍)だったが、告発分に係る脱税額は、関税が1億309万円(同約2.4倍)、内国消費税が3億6250億円(同約2.5倍)の計4億6560万円(同約2.4倍)だった。

処分した事件のうち、金地金の密輸事件が720件(前年度比約1.5倍)と全体の約86%を占めた。その脱税額は総額で約15億円(同約1.7倍)となり、処分件数・脱税額いずれも過去最高を記録した。金地金の総重量は約4トンに相当し、課税価格の総額は約186億円にのぼる。金地金の密輸事件以外の主な処分事例として、タオル等の繊維製品や隠元豆等の豆類等の低価申告による関税等脱税事件があった。

金地金の密輸に係る処分した事件のうち、約96%(691件)が航空機旅客による密輸となっている。その隠匿手口は、これまで多く見られたサポーターを使って体に巻きつける手口等のほか、特殊な形態に加工して下着に隠匿したり、モバイルバッテリー内に隠匿して密輸しようとするなど、巧妙な隠匿手口が新たに見つかっている。そのほか、体内への隠匿など悪質な手口も引き続き散見されるという。

財務省では、昨年11月、検査の強化、処罰の強化、情報収集・分析の充実の3つの対策を柱とした「ストップ金密輸」緊急対策を発表し、取締りの強化を行ってきたところ。また、2018年度税制改正では、金の密輸入の増加に対応するため、消費税法を改正し、輸入に係る消費税の脱税に係る罰金額(ペナルティ)の上限を、改正前は脱税額となっているものを、脱税額の10倍が1000万円を超える場合には、脱税額の10倍に引き上げている。

この件については↓
https://www.mof.go.jp/customs_tariff/trade/collection/ka20181114a.htm

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