会計検査院がこのほど公表した2017年度決算検査報告によると、各省庁や政府関係機関などの税金のムダ遣いや不正支出、経理処理の不適切などを指摘したのは374件、1156億9880万円(348件分)にのぼった。前年度に比べ、指摘件数は49件減ったものの、指摘金額では前年度(874億4130万円)から約32%増加した。指摘金額とは、租税や社会保険料等の徴収不足額を始め、補助金等の過大交付額などである。

財務省に対しては、法令違反に当たる不当事項として、税金の徴収額の過不足2億6673万円(前年度:4億8788万円)が指摘された。38税務署において、納税者58人から税金を徴収するに当たり、徴収不足が60事項、2億6273万円、徴収額過大が1事項、400万円だった。前年度は、36署において徴収不足が56事項、4億8788万円(徴収過大はゼロ)だったので、徴収不足は約46%減少したことになる。

徴収が過不足だった61事項を税目別にみると、「法人税」が25事項(うち1事項は徴収過大400万円)で徴収不足が1億2629万円と最も多く、以下、「申告所得税」17事項、同3473万円、「消費税」11事項、同5486万円、「相続・贈与税」5事項、同3877万円、「復興特別法人税」3事項、同806万円だった。これらの徴収過不足額については、会計検査院の指摘後、全て徴収決定または支払決定の処置がとられている。

法人税では、徴収不足24事項のうち、受取配当等の益金不算入に関するものが9事項と法人税全体の3分の1を占めた。例えば、A社の場合、2015年4月から2016年3月までの事業年度の申告で、その有する他の法人の株式のうち8法人の株式を「その他株式」に該当するとして、受取配当等の益金不算入の対象となる金額を、配当等の額の50%相当額の3232万円としていた。

しかし、A社は、8法人のいずれについても発行済株式総数の5%以下に相当する数の株式を配当等の額の支払に係る基準日に有していたことから、これらの株式は「非支配目的株式等」に該当し、受取配当等の益金不算入の対象となる金額は配当等の額の20%相当額の1292万円となる。税務署はこれを見過ごしたため、上記の金額3232万円との差額1940万円が過大となっており、法人税額351万円が徴収不足になっていた。

財務省に対する不当事項(租税の徴収額に過不足)は↓
http://www.jbaudit.go.jp/report/new/summary27/pdf/fy27_futo_080.pdf

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