経済産業省・中小企業庁はこのほど、賃上げ・生産性向上のための税制及び所得拡大促進税制について、多くの指摘・問合せがあった点を踏まえ、両制度のQ&A集を改訂したことを明らかにした。同税制は、事業者が一定の要件を満たした上で、前年度より給与等の支給額を増加させた場合、その増加額の一部を法人税(個人事業主の場合は所得税)から税額控除できる制度である。

今回の改訂では、給与所得となる手当を「商品券」で支給した場合のその「商品券」の券面額が同税制の「給与等」に含まれること等を明確化。具体的には、「給与所得となる手当を商品券で支給した場合の商品券の券面額や給与所得となる食事代の手当をお食事券で支給した場合のその券面額は、給与等の金額に含まれるのか」との問いに対し、「いずれも、給与等の金額に含まれる。現金か商品券かなど、支給の形態は問わない」と回答している。

賃上げ実施企業を税制優遇する所得拡大促進税制は、2018年度税制改正において、要件を厳しくした上で税額控除割合を拡大した。大企業については、これまで平均給与等支給額増が前年度比+2%以上が要件だったが、これを+3%以上に引き上げた上、国内への設備投資額が当期の減価償却費の総額が90%以上という要件が加わり、これらを満たせば、支給総額増加分の15%(改正前:12%)が税額控除できる。

一方、中小企業は、大企業よりも要件が緩く、1人当たり平均給与等支給額の前年度比は1.5%以上との要件のみ(設備投資要件はなし)で、給与等支給総額の前年度比増加額の15%の税額控除が認められる。さらに、平均給与等支給額が前年度から+2.5%以上増加し、教育訓練費の額が前期の教育訓練費の額に対する増加割合10%以上などの要件を満たした場合は給与等支給増加額の25%の税額控除ができる(当期の法人税額の20%が上限)。

所得拡大促進税制は、2018年4月1日から2021年3月31日までの間に開始する各事業年度に適用されている。

同Q&A集の改訂版は↓
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/syotokukakudaiqanda.pdf

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