国税庁は、租税条約等の情報交換規定に基づき、CRS(Common Reporting Standard:「共通報告基準」)に基づく非居住者金融口座情報(CRS情報)の自動的情報交換を開始したことを明らかにした。CRSは、非居住者に係る金融口座情報を各国税務当局間で自動的に交換するために、2014年にOECD(経済協力開発機構)で策定された国際基準であり、100を超える国・地域がCRS情報の自動的情報交換に参加することになっている。

我が国では、このCRS情報の自動的情報交換を行うため、2015年度税制改正において、国内に所在する金融機関が、非居住者の保有する口座につき、口座保有者の氏名、住所、居住地国、外国の納税者番号、口座残高、利子・配当等の年間受取総額等の情報を所轄税務署長に報告する制度を導入し、報告されたCRS情報の初回交換は、2018年9月までに行うこととしていた。

初回交換において、国税庁は、9月以降10月31日現在、日本の非居住者に係る金融口座情報8万9672件を58ヵ国・地域に提供した一方、日本の居住者に係る金融口座情報55万705件を64 ヵ国・地域から入手した。入手した国・地域別では、「アジア・オセアニア」が29万660件、「欧州・NIS諸国」20万2455件、「北米・中南米」4万1915件、「中東・アフリカ」1万5675件となっている。

入手した金融口座情報は、国外送金等調書、国外財産調書、財産債務調書、その他既に保有している様々な情報と併せて分析する。国税庁は、これらの分析を通じて、海外への資産隠しや国際的租税回避行為をはじめとした様々な課税上の問題点を幅広く的確に把握し、適切に対応していく。また、徴収の分野においても、入手した金融口座情報を活用し、外国税務当局への徴収共助の要請等を行っていくという。

なお、各国・地域によるCRSに基づく自動的情報交換の実施状況については、OECDの取組みとして、2020 年以降、各国・地域が相互に審査を行う予定。また、2018年9月までに実施することとはなっていない国・地域については、各国・地域の状況を踏まえ、実施に向けた技術支援をOECDが行っている。

この件については↓
http://www.nta.go.jp/information/release/pdf/001.pdf

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