国税庁は、これまで紙で提出することとされてきた年末調整関係書類の提出の電子提出が可能になることをPRしている。国税庁は昨年6月にICT・AIを活用した約10年後の「税務行政の将来像」を公表した中で、年末調整の手続きを電子化する方向を示したが、2018年度税制改正において、生命保険料控除、地震保険料控除及び住宅ローン控除に係る年末調整手続きを電子化することが盛り込まれた。

所得税等の確定申告や年末調整で生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除の適用を受ける場合には、従来、保険会社等から書面により交付を受けた控除証明書等を申告書等に添付等する必要があったが、2018年分以後は、保険会社等から電子データで交付を受けた控除証明書等(「電子的控除証明書等」)を一定の方法により印刷した電磁的記録印刷書面(「QRコード付控除証明書等」)による提出が可能となった。

QRコード付控除証明書等は、保険会社等のHPからデータをダウンロードするなどの方法により交付を受けた電子的控除証明書を、国税庁のHPのQRコード付証明書等作成システムに読み込むことで、PDFファイルのQRコード付控除証明書等が作成される。このQRコード付控除証明書等を印刷することで控除証明書として利用することができるものだが、書面提出することに変わりはない。

QRコード付控除証明書等は手間がかかり、利用者は少ないと予想されるが、2019年1月以後に2018年分以後の確定申告をe-Taxで送信する場合には、電子的控除証明書等を添付して送信することができるようになる。さらに、2020年10月以後に年末調整の際に給与所得者の保険料控除証明書を給与の支払者に電子的に提出(送信)する場合には、電子的控除証明書等を添付して提出(送信)することができるようになる。

控除証明書等の電子的交付は、保険会社等から電子的控除証明書等が電子データで交付され、納税者は確定申告書にその電子的控除証明書を添付してe-Taxで提出するという簡単なイメージ。これにより、従業員は保険料控除申告書と控除証明書をまとめて電子提出が可能となり、会社側では控除証明書や提出用台紙を紙で取り扱う煩雑さがなくなることや、申告内容と証明書の突合せをより簡単に行えるようになることが期待されている。

年末調整手続きの電子化は、インターネット上で簡単に手続きができるようにすることで個人や企業の利便性を高め、事務負担の軽減を図るのが狙いとなる。そのほか、居住年が2019年以後分に係る住宅ローン控除においては、住宅ローン控除申告書等に添付すべき住宅ローン控除証明書や年末残高証明書についても、金融機関や税務署から電子データで交付されるものをあわせて提出することができるようになる。

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