土砂災害特別警戒区域は、土砂災害が発生した場合、建築物に損壊が生じ住民の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域だが、国税庁は、財産評価基本通達を改正し、同区域内にある宅地の評価を新設する。10月17日に財産評価基本通達の一部改正(案)をパブコメとして公表した。11月15日まで意見を募集したうえで、2019年1月1日以後に相続、遺贈又は贈与により取得した財産の評価に適用する。

改正案によると、土砂災害特別警戒区域内にある宅地は、補正前の価額に、その宅地の総地積に占める特別警戒区域内となる部分の地積の割合に応じた補正率を乗じて計算した価額で評価。補正率は、総地積に占める特別警戒区域の地積の割合0.10以上0.90、0.40以上0.80、0.70以上0.70の3段階。なお、がけ地補正率の適用がある場合は、この補正率にがけ地補正率を乗じて得た数値を特別警戒区域補正率とする(ただし、その最小値は0.50)。

土砂災害防止法では、土砂災害特別警戒区域を、急傾斜地の崩壊等の土砂災害が発生した場合、建築物に損壊が生じ、住民等の生命又は身体に著しい危害が生じる恐れがあると認められる区域として都道府県知事が指定した区域、と規定しており、通称「レッドゾーン」と呼ばれている。急傾斜地の他、土石流渓流や地すべりのおそれのある箇所が警戒区域として指定されている。

これらの区域では、土地開発の制限や建築物に構造の規制がされることから、土地の売買価額は当然に下がる。このため相続の実務ではこれを反映した評価減をしているようだが、これまでは財産評価基本通達に評価減の規定がなかった。なお、固定資産税については、特定開発行為に対する許可制や建築物の構造の制限等の土地利用制限が設けられるため、この制限が価格に与える影響を考慮し、評価額に減価補正を適用する市町村が多い。

「財産評価基本通達の新旧対照表(案)」は↓
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000179039

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