今年の日本は、北海道地震や台風24号による被害など大きな自然災害に見舞われているが、中部経済連合会や北海道経済連合会、関西経済連合会など全国の地域経済連合会8団体は、防災・減災のため事業者が耐震化投資等をしたときに税の軽減を受けられる「国土強靭化税制」の創設を、8月27日に初会合を開いた自民党の同税制を支援する議員懇話会において要望している。

国土強靭化税制は、(1)工場・オフィス、店舗、倉庫など事業用施設の耐震化、(2) 防潮堤、防波堤、岸壁、護岸、避難棟、建物高層化など津波被害軽減、航路保全、(3)事業用施設のより安全性の高い場所への移転、(3)非常用電源等の非常用機器の設置、(4)建設事業者が災害復旧活動に使用する建設機械等の取得、などの民間施設等の防災・減災に資する設備投資に対し、法人税等を軽減する内容となっている。

具体的には、(1)では中小企業経営強化税制について、同税制の目的(中小企業の「生産性」や「収益力」の向上に資する設備投資の促進)を拡張して、「生産レジリエンス」(震災等に対する生産活動の中断のしにくさ、持続力、粘り強さ)の向上を追加することを要望。追加する「一定の設備」の要件は、改良によって耐震性の向上が証明された既存設備や、耐震性が基準を満たす新規に取得された設備としている。

そのほか、地域未来投資促進税制について、同税制が規定する地域経済をけん引する事業の類型を拡張して、「地域防災力」の向上に資する事業を追加することや、所得拡大税制について、大企業は、設備投資の目的が「地震対策」である場合、減税幅を大きくすることで、「地震対策」の誘導効果を高め、中小企業は、減税の要件を多様化し、賃上げと設備投資のいずれか一方を選択できるようにすることなどを求めている。

自民党の衆参議員130人以上が参加し発足した懇話会には、10月2日の組閣で地方創生大臣として初入閣した片山さつき議員も参加している。一方、関係省庁も2019年度税制改正要望で国土強靭化税制(仮称)に関して、「企業の生産力の強靱化を図るため、生産設備を含む事業用施設の耐震化の設備投資等を促進する税制の創設を検討する」との共同要望(内閣府、経済産業省、国土交通省)をしている。

「国土強靭化税制」の整備・創設への提言は↓
http://www.chukeiren.or.jp/policy_proposal/pdf/180827_National%20Resilience.pdf

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