国税不服審判所はこのほど、2018年1月から3月分の裁決事例を同所HP上にある「公表裁決事例要旨」及び「公表裁決事例」に追加し公表した。今回公表された裁決事例は、15事例(国税通則法関係7件、所得税法関係4件、法人税法関係1件、登録免許税法関係1件、消費税法関係1件、国税徴収法関係1件)となっており、裁決の10事例で納税者の主張が何らかの形で認められており、実務家にとっても参考となろう。

このうち、国税徴収法関係では、無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務において無償譲渡と認めなかった事例がある。これは、請求人が滞納者から財産分与により取得した財産の価額は不相当に過大ではないから無償譲渡等の処分があったとは認められないとして、国税徴収法第39条の第二次納税義務の告知処分の全部を取り消した事例(第二次納税義務の納付告知処分・全部取消し)である。

この事例は、離婚に伴う財産分与が民法第768条の規定の趣旨に反して不相当に過大であるか否かは、財産の額や婚姻期間中の状況等の諸事情を考慮して、清算的要素、扶養的要素及び慰謝料的要素に相当する額をそれぞれ算定した上で判断するのが相当であるところ、請求人が滞納者から財産分与により取得した財産の価額は、上記要素に基づき算定した財産分与相当額を下回るものであり、不相当に過大ではないと判断したもの。

国税通則法関係では、当初から相続税を過少に申告する意図を有していたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例がある。この事例は、請求人らが当初から相続税を過少に申告する意図を有していたとか、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとは認められないとして、重加算税の賦課要件を満たさないと判断したものである。

また、所得税法関係では、馬券の的中によって得た払戻金に係る所得について、請求人は、競馬の勝馬投票券(馬券)の的中によって得た払戻金に係る所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得に該当する旨主張したが、請求人の一連の馬券購入行為をもって一体の経済活動の実態を有するものとはいえないから、営利を目的とする継続的行為から生じた所得とは認められず、一時所得に該当するとした事例がある。

この件については↓
http://www.kfs.go.jp/service/JP/idx/110.html

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