国税関係の行政手続コスト削減のために、国税電子申告・納税システム(e-Tax)をさらに活用する。財務省が公表した基本計画(昨年6月に公表した基本計画を改定したもの)によると、e-Taxの活用の推進を柱に、税務手続きに係る人的・時間的コストを減らす方針だ。すでに2018年度税制改正では、大法人の法人税等の電子申告が、2020年4月1日以後開始する事業年度から義務化されることが決まっている。

中小法人は義務化の対象外だが、2018年度税制改正では、大法人の電子申告義務化と併せて措置することとした申告データの円滑な電子提出のための環境整備策(提出情報等のスリム化、データ形式の柔軟化、提出方法の拡充、提出先の一元化(ワンスオンリー化)、認証手続きの簡便化等)は、中小法人にも適用される。こうした環境整備の周知を図りながら、中小法人もe-Tax利用率85%以上を目指し、関与税理士等への働きかけを強める。

次に、e-Taxの使い勝手の大幅改善のため、PDF送信された添付書類の紙原本の保存を、一定要件を満たせば本年4月から不要にする。また、法人税の申告書に添付する勘定科目内訳明細書の記載内容を簡素化し、書面申告の場合も含めて来年4月から実施する予定。本年4月から法人税申告書への代表者及び経理責任者の自署押印制度を廃止、代表者のみの記名押印制度の対象とし、法人納税者の認証手続きを簡便化する(書面申告も同様)。

一方、来年1月から、個人納税者がマイナンバーカードに搭載された電子証明書を使ってe-Taxを利用する場合は、e-TaxのID・パスワード(PW)の入力を省略する。また、マイナンバーカード及びICカードリーダライタの未取得者を念頭に、厳格な本人確認に基づき税務署長が通知したID・PWのみによるe-Taxの利用を可能とすることで、個人納税者の認証手続きの簡便化を図る予定となっている。

電子申告とともに電子納税も一層推進する。すでに2017年6月から、e-Taxの申告情報(納付税額等)の自動引継機能を整備し、また、本年1月からはダイレクト納付を利用できる金融機関の預貯金口座の複数登録が可能となったが、さらに来年1月からは、ダイレクト納付を利用した予納制度(納期限前にあらかじめ納付を行うこと)を拡充し、定期に均等額で行うことや任意のタイミングで行うことを可能とする。

この件については↓
https://www.mof.go.jp/about_mof/other/e-j/kokuzei.pdf

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