高松国税局は、定年を延長した企業の事前照会に対し、延長前の定年に達した従業員に支払った退職一時金の所得区分は退職所得として差し支えないとする文書回答を行った。この企業では、少子化に伴い新卒者の採用が困難となってきているなか、働ける高年齢者確保を目的に、今年4月から定年を60歳から65歳に延長することを決めるとともに、定年延長前に入社した従業員には、満60歳の月末時に退職一時金を支給することにした。

そこで、この企業は、この退職一時金を受け取る従業員は引き続き勤務するため本来は退職所得には該当しないが、所得税基本通達に「引き続き勤務する者に支払われる給与のうち、定年延長した場合に、その旧定年に達した使用人に対し旧定年に達する前の勤務期間に係る退職手当等として支払われる給与は退職手当等とする」旨定められていることから、退職所得として差し支えないかどうかの確認をするために事前照会を行った。

企業はその理由として、(1)従業員は、旧定年の60歳のときに退職一時金が支給されることを前提に生活設計をしており、定年延長に伴い退職一時金の支給が65歳となると不都合が生じることから、定年を延長する場合にも旧定年の60歳での支給を要求していること、(2)退職一時金を支給した後は、定年を延長した期間に対する退職金の支給はしないので、いわゆる打切支給の退職手当等であると認められること。

さらには、(3)これまでの定年である満60歳に達した日までを基礎として計算することとしているので、この退職一時金は「旧定年に達する前の勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与」であると認められること、などの理由を示して、上記の通達に定められた退職手当として取り扱うのが相当との考えを示した。これに対し高松国税局は、「照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えない」と回答している。

この件については↓
http://www.nta.go.jp/about/organization/takamatsu/bunshokaito/gensen/180306/besshi.htm#a01

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