政府の“貯蓄から投資へ”の方針を受け、NISA(少額投資非課税制度)の利便性向上のための改正が毎年のように行われているが、2018年度税制改正でも2点の見直しが行われている。現行では、投資家がNISA口座の開設を申し込んでも、税務署での二重口座でないことの確認に日数がかかることから当日は買付けができない。このため投資意欲を失い、口座開設はしたものの、一度も買付けが行われていない口座が相当数にのぼる実態がある。

そこで、金融機関に対し、非課税適用確認書等の添付を要しない「非課税口座簡易開設届出書」を提出できることとし、申し込んだ即日にNISA口座を開設し、同日に買付けを可能にする。税務署での二重口座確認は口座開設後になるが、二重口座であった場合は、NISA口座で買い付けていた商品を口座開設当初に遡及して一般口座に移管する。2019年1月1日以後の非課税口座簡易開設届出書の提出から適用する。

また、一般NISAの場合、非課税期間である5年間が終了した後、ロールオーバー(他の年分の非課税枠を使い投資を続行)を選択しないときは課税口座(一般口座又は特定口座)に移管されるが、現行では特に意思表示をしない限り、NISA口座内の保有商品は、顧客が年間取引報告書を作成し確定申告しなければならない一般口座に移管されてしまう。これに対し特定口座ならば、金融機関が年間取引報告書を作成して源泉徴収をする。

そこで、金融機関に特定口座が開設されているときには、他の年分の非課税管理勘定又は特定口座以外の他の保管講座に移管されるときを除き、自動的に特定口座に移管することにする(届出により一般口座への移管も可能)。この改正については、未成年者口座の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(「ジュニアNISA」)における未成年者口座内上場株式等の移管についても同様とする。

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