国土交通省が22日に公表した2023年1月1日時点の地価公示によると、商業・工業・住宅の全国全用途平均で1.6%のプラス(前年0.6%)と2年連続で上昇した。上昇率は2008年(1.7%)に次ぐ15年ぶりの高水準。住宅地は1.4%(同0.5%)、商業地は1.8%(同0.4%)とともに2年連続で上昇。新型コロナ感染症の影響が和らいで、都市部を中心に上昇が継続するとともに、地方部においても上昇範囲が広がるなど、コロナ前への回復傾向が顕著になった。

地方圏は、全用途平均が前年比1.2%(前年0.5%)、住宅地が1.2%(同0.5%)、商業地は1.0%(同0.2%)で、いずれも2年連続の上昇となった。地方四市(札幌市、仙台市、広島市及び福岡市)では、全用途平均(8.5%)・住宅地(8.6%)・商業地(8.1%)のいずれも上昇を継続し上昇率が拡大。地方四市を除くその他の地域では全用途平均(0.4%)、住宅地(0.4%)、商業地(0.1%)ともに上昇に転じた。

国交省では、住宅地について、(1)都市中心部や生活利便性に優れた地域では、低金利環境の継続、住宅取得支援施策等による需要の下支え効果もあり、住宅需要は堅調であり、地価上昇が継続、(2)生活スタイルの変化による需要者のニーズの多様化により、郊外部にも上昇範囲が拡大、(3)地方四市は上昇率が拡大しており、また、四市の中心部の地価上昇に伴い需要が波及した周辺の市町では、高い上昇率を見せている、などの特徴を示している。

商業地については、(1)都市部を中心に、店舗需要は回復傾向にあり、また、堅調なオフィス需要やマンション用地需要等から地価の回復傾向がより進んでいる、(2)三大都市圏や地方四市等の再開発事業等が進展している地域では、利便性・繁華性向上への期待感から地価上昇が継続、(3)国内来訪客が戻りつつある観光地や、人流が回復しつつある繁華街では、店舗等の需要の回復が見られ、多くの地域で地価は回復傾向にある、としている。

なお、全国の最高額は17年連続で東京都中央区銀座4の「山野楽器銀座本店」で、1平方メートル当たり5380万円、前年比1.5%上昇した。ところで、毎年7月には国税庁から相続税・贈与税を計算するときの土地の評価額である路線価が公表されるが、地価公示価格は、売買実例価額や不動産鑑定士等による鑑定評価額等とともに、路線価を算定する際の基となる。今夏公表される2023年分路線価への地価公示価格上昇の影響が注目される。

この件については↓
https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo04_hh_000001_00029.html

提供:株式会社タックス・コム