2023年度税制改正法案である国税関係の「所得税法等の一部を改正する法律案」が2月3日に閣議決定され、国会に提出されたが、これを受けて財務省は7日、「2023年度税制改正(案)のポイント」を公表した。個人所得課税では、「資産所得倍増」、「貯蓄から投資へ」の観点から、NISA制度について、非課税保有期間を無期限化するとともに、口座開設可能期間については期限を設けず、恒久的な措置とする。

さらに、一定の投資信託を対象とする長期・積立・分散投資の枠(「つみたて投資枠」)については、年間投資上限額を120万円に拡充。上場株式への投資が可能な現行の一般NISAの役割を引き継ぐ「成長投資枠」を設け、年間投資上限額を240万円に拡充するとともに、「つみたて投資枠」との併用を可能とする。非課税保有限度額を新たに設定した上で、1800万円とし、「成長投資枠」については、その内数として1200万円とする。

資産課税では、相続時精算課税制度について、現行の暦年課税の基礎控除とは別途、110万円の基礎控除を創設し、精算課税で贈与を受けた土地・建物が災害により一定以上の被害を受けた場合に相続時にその課税価格を再計算する。暦年課税で贈与を受けた財産を相続財産に加算する期間を相続開始前3年間から7年間に延長し、延長した4年間に受けた贈与のうち総額100万円までは相続財産に加算しない見直しを行う。

法人課税では、研究開発税制を見直し、研究開発費の増加インセンティブを更に強化するため、試験研究費の増減に応じた税額控除率のカーブを見直す。税額控除上限に到達した企業に対してもインセンティブ強化となるよう、試験研究費の増減に応じて、税額控除の上限も変動させる制度を新たに導入する。そのほか、企業による先導的人材投資に係る税制措置を講じ、オープンイノベーション促進税制を見直す。

消費課税では、インボイス制度の円滑な実施に向けて、小規模事業者に対する納税額に係る負担軽減措置として、免税事業者がインボイス発行事業者を選択した場合の負担軽減を図るため、納税額を売上税額の2割に軽減する激変緩和措置を3年間講ずる。これにより、業種にかかわらず、売上・収入を把握するだけで消費税の申告が可能となることから、簡易課税を選択する場合より、事務負担も大幅に軽減されることとなる。

また、一定規模以下の事業者に対する事務負担を軽減するため、基準期間(前々年・前々事業年度)における課税売上高が1億円以下である事業者については、インボイス制度の施行から6年間、1万円未満の課税仕入れについて、インボイスの保存がなくとも帳簿のみで仕入税額控除を可能とする。そのほか、事業者の実務に配慮して事務負担を軽減するため、少額な値引き等(1万円未満)については、返還インボイスの交付を不要とする。

2023年度税制改正(案)のポイントは↓
https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeiseian23/zeiseian05_all.pdf

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