2023年度税制改正での中小企業関連の見直しは、まず、中小企業の設備投資や賃上げに向けた事業環境の整備として、さらなる円安・資源高等によるコストプッシュ・インフレや引き続く新型コロナ禍において賃上げも求められている中小企業の生産性向上やDXに資する投資を後押しするため、中小企業経営強化税制(即時償却又は税額控除10%)及び中小企業投資促進税制(特別償却30%又は税額控除7%)を2年間延長する。

中小企業経営強化税制は、中小企業の稼ぐ力を向上させる取組支援に、中小企業等経営強化法による認定を受けた計画に基づく設備投資について、即時償却及び税額控除(10%、資本金3000万円超は7%)のいずれかの適用を認める。中小企業投資促進税制は、中小企業における生産性向上等を図るため、一定の設備投資を行った場合に、税額控除(7%:資本金3000万円以下の中小企業者等に限る)又は特別償却(30%)の適用を認める。

また、赤字の中小企業であっても賃上げや前向きな投資を可能とする固定資産税の特例措置を新設する。対象は、中小企業等経営強化法に規定する市町村の導入促進基本計画に適合し、かつ、労働生産性を年平均3%以上向上させるものとして認定を受けた中小事業者等の先端設備等導入計画に記載された一定の機械・装置等で、生産・販売活動等の用に供されるものに係る固定資産税の課税標準を最初の3年間、価格の2分の1とする。

次に、中小企業の経営基盤強化・研究開発支援等、地域経済を牽引する企業の成長促進のため、中小企業軽減税率(所得800万円まで、法人税率を19%→15%に軽減)を2年間延長する。中小企業の研究開発促進のためには、中小企業技術基盤強化税制(試験研究費の税額控除等)を、増減試験研究費割合に応じた控除率・控除上限の上乗せ措置を一部見直した上で、時限措置を3年間延長する(コロナ特例については時限通りに廃止)。

さらに、事業継続力強化計画を策定し、激化する自然災害等に備える中小企業の事前対策を強化するため、防災・減災に資する設備投資を後押しする中小企業防災・減災投資促進税制(特別償却18%)について、耐震装置を対象設備に追加した上で、2年間延長する。そのほか、インボイス制度導入に当たって、中小・小規模事業者の負担軽減や影響最小化のため、以下の措置を講ずる。

それは、(1)免税事業者がインボイス発行事業者になった場合の納税額を売上税額の2割に軽減する3年間の負担軽減措置、(2)基準期間における課税売上高が1億円以下又は特定期間における課税売上高が5000万円以下の事業者の行う課税仕入れに係る支払対価の額が1万円未満の取引を、帳簿のみで仕入税額控除を可能とする6年間の事務負担軽減策、(3)1万円未満の値引きや返品等の返還インボイスについて交付義務を免除、というもの。

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