東京商工会議所は、このほど、2023年度税制改正に関する意見を発表した。意見書では、コロナ禍の長期化に加え、資源・原材料価格の高騰等による物価上昇が中小企業経営に大きな打撃を与え、大変厳しい状況に直面しており、さらに、中小企業は、わが国企業数の99.7%、雇用の約7割、税や社会保険料支払額の約5割を占めるなど、雇用、生産、消費、財政等の面で大きな役割を果たしていると指摘した。

地域に目を向けると、地域住民にとって必要な生活インフラとしての機能や、まちづくりを進めるプレーヤーなど、中小企業は大きな役割を果たし、地方創生に欠かせない存在となっており、中小企業の活力強化なくして、日本及び地域全体の成長はあり得ないとも指摘。こうした状況を踏まえ、「中小企業の自己変革への挑戦」や「地方創生の取組み」を税制面から強力に後押しする必要があると主張している。

中小企業の自己変革への挑戦を後押しする税制としては、中小企業の設備投資等の挑戦支援(中小企業経営強化税制の延長・拡充、中小企業投資促進税制の延長、中小法人の法人税率の軽減税率(15%)の延長・恒久化等)、中小企業のイノベーションやDX・GXへの挑戦支援(研究開発税制等の延長・拡充等)、創業・スタートアップの促進(業績連動給与の適用対象拡大、創業後5年間の法人税減免等)などの改正要望を掲げた。

消費税インボイス制度の導入延期を含めた対応では、政府による十分な「検証」の実施、政府による事業者への普及・周知の徹底、インボイス制度導入の影響最小化策の実行(免税事業者からの仕入について100%控除の容認、徹底的な申告書の簡素化、届出不要で原則簡易課税の適用、3万円未満取引は帳簿保存のみで仕入税額控除適用等)、検証結果や中小企業経営の実態を踏まえた、制度導入時期の延期などを求めた。

地方創生と内需拡大を後押しする税制では、地方創生と内需の拡大(地域未来投資促進税制の延長・拡充、長期保有土地等に係る事業用資産の買換え特例の延長・拡充、都市再生税制及び市街地再開発事業等に係る特例の延長・拡充等)、防災・減災への対応(中小企業防災・減災投資促進税制の延長・拡充等)、また、円滑な事業承継の実現に資する税制として、事業承継税制の見直し、贈与税の暦年課税制度の維持・見直し等を要望している。

東商の2023年度税制改正に関する意見は↓
https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1031840

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