文部科学省は、公表した2023年度税制改正要望において、教育資金一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置の拡充を盛り込んだ。教育資金一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税特例とは、父母や祖父母等から30歳未満の子や孫に対して教育資金を一括で贈与した場合、一定の要件のもとに1500万円まで贈与税を非課税とする制度。同制度は、2023年3月31日までの時限措置である。

文科省は、2025年3月31日までの時限措置の延長とともに、(1)一定割合を学校法人・公益法人等へ寄附することを条件に非課税上限額を1500万円から2000万円まで引上げ、(2)拠出後の資金の一定の投資商品に係る運用損失及び拠出後の資金からの学校法人・公益法人等への寄附を非課税とする、(3)23歳以上の受贈者について教育訓練給付の支給対象となりうる「資格・検定」に係る払出しを非課税とする、などの拡充措置も要望した。

要望した施策の必要性として、文科省は、我が国の個人金融資産は、約2000 兆円もの規模であるが、金融資産の多くは60歳以上の高齢者層に偏重している状況にあると指摘。また、金融資産の約半分は現預金で保有・運用されており、この割合は諸外国に比べて高い。一方で、子育て世代は将来の子供の教育費に対する不安等から消費活動を控える傾向が見られるとも指摘。

同制度の拡充・延長により、高齢者層に偏重している個人金融資産の若年者層への世代間移転を更に促すことで、「自助」としての教育費の早期確保を可能にし、我が国の将来を担う人材への投資につなげる。また、これにより子育て世代の将来に対する不安を和らげ、消費活動の活発化を図り、さらに、学校法人等への寄附を促進する仕組みを設けることで、より広範な子供、若者への教育費支援として「共助」にもつながる、との考えを示した。

文科省ではこのほか、高等学校等就学支援金制度の見直しに伴う税制上の所要の措置や、日米宇宙協力に関する枠組協定(仮称)に基づく物品等の輸入に伴う税制上の所要の措置、試験研究を行った場合の法人税額等の特別控除の拡充及び延長、出産費及び家族出産費の支給額の見直しに伴う税制上の所要の措置、退職等年金給付の積立金に対する特別法人税の撤廃又は課税停止措置の延長などを要望している。

文科省の2023年度税制改正要望は↓
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2023/request/mext/index.html

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